人身傷害と搭乗者傷害は非常に良く似た補償です。どう違うのか理解するのが難しいと感じる人も、意外と多いのではないでしょうか。
具体的にどう違うのかを確認してみましょう。
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人身傷害補償保険とは
まずは、日本損害保険協会のサイトにある人身傷害補償保険の定義を見てみましょう。
被保険者が自動車事故により、死傷した場合に、保険金額の範囲内で実際に生じた損害額を、過失相殺による減額をせずに自分の過失分を含めて、被保険者自身が契約している保険会社から保険金を受け取ることができる保険です。
率直に言って、この説明はわかり辛いですね。もう少し分かり易い形にしてみましょう。
「被保険者が自動車事故により、死傷した場合に」というのは、要するに、「保険の対象になる人が死傷したとき」ということです。
「過失相殺による減額をせずに自分の過失分を含めて」というのは、大雑把に言うと、「過失がある無しに関わらず損害額全てを」ということですね。
以上を整理すると、次のように言い換えることが出来るでしょう。
「保険の対象となる人(被保険者)が死傷したときに、過失がある無しに関わらず、損害額にあたる額の保険金が支払われます。この保険金を支払うのは、被保険者が契約している保険会社です。」
対人賠償責任保険の必要性はどうなのだろう?
対人賠償責任保険が交通事故の相手の死傷に備える保険であるのに対して、人身傷害補償保険は自分自身の死傷に備える保険ということです。実際の損害に応じた保険金が支払われます。
交通事故を起こしたときに、相手方から十分な賠償金が支払われない可能性があります。例えば、相手方が自動車保険に入っていない可能性もあります。また、ひき逃げの可能性もあるでしょう。さらに言うと、単独事故により死傷することもありうるでしょう。
人身傷害補償保険というのは、結局、こういうケースに備えるわけです。
搭乗者傷害保険とは
次に搭乗者傷害保険についてみていきましょう。日本損害保険協会によると、搭乗者傷害保険は次のように定義されています。
被保険自動車に乗車中に死傷した場合に、死傷したすべての人に対して保険金を支払う保険です。
この説明だけだとちょっと分かりにくいですね。もうちょっと詳しく書くと、搭乗者傷害保険は自動車が事故にあったときに、その自動車に搭乗中の人にあらかじめ定めた額の保険金を支払う保険です。
「あらかじめ定めた額」というのがポイントですね。実質の損害に関わらず決まった額が支払われます。
人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の違いは
以上の説明から分かるように、人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の最大の違いは、保険金額が決まっているかどうかです。人身傷害補償保険が実質の損害を補償する保険なのに対して、搭乗者傷害保険は死傷に対して決まった額の保険金が支払われます。
とりあえずこの点だけ理解できていれば、いいのではないかと思います。
ちなみに、人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険の両方に入っていた場合、保険金は両方とも支払われます。つまり、実質的な損害に応じて人身傷害補償保険の保険金が支払われる上に、搭乗者傷害保険の保険金が支払われるわけです。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方をつけているケースが多い
人身傷害保険と搭乗者傷害保険は、基本的には同じような補償であると考えて良いでしょう。どちらも車の運転者や同乗者の死傷に備えるための補償です。
ということは、常識的に考えれば、どちらか片方に入っていれば十分という事ですよね。誰か1人に対して、2つの保険会社で死亡保険に入るようなものですから。
ところが現実には、人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方に入っている人はかなり多いようなのです。たぶん、保険会社のデフォルトの設定が、両方入るようになっているのでしょうね。
はっきり言って、これはお金の無駄遣い以外のなにものでもありません。次の契約からは、片方を削ることをお勧めします。
どちらか片方を止めるなら、搭乗者傷害保険です。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険は、どちらか片方(一般的には人身傷害保険)を付けていれば十分です。
搭乗者傷害保険は保険会社によって付帯率がかなり違う
搭乗者傷害保険について調べていて、おもしろいことに気づきました。搭乗者傷害保険を付帯している割合は、保険会社によってかなり違うようなのです。
具体的な数字を見てみましょう。
SBI損保だと、搭乗者傷害保険を付帯しているのは、全体の89%なのだそうです。かなり多いですね。
ところが、イーデザイン損保のサイトによると、搭乗者傷害保険の付帯率は61まで下がります。そして、三井ダイレクト損保だと、全体の38%しか搭乗者傷害保険を付帯していないのです。
率直に言って、絶対に必要な補償だったら、ここまでの違いは出ないでしょう。必要性が小さい補償だから、ある保険会社では契約が多いのに、別の保険会社では半分も契約をしていなかったりするわけです。
あまり必要性が大きくない補償をつけさせたわけですから、SBI損保は商売上手という言い方もできるかもしれませんね。何にしても、ここまで差があるのは、ちょっと興味深い事です。
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