兵庫県で自転車保険の加入が義務化されるのだそうです。保険の名称は「ひょうごのけんみん自転車保険」で、2015年の4月から加入受付が開始されるのだとか。1
ちなみにこの保険は、義務といっても、何かペナルティがあるわけではありません。ですから、どの程度まで徹底されるかは、ちょっと分からない部分もありそうです。
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保険料と保険の中身について確認してみよう
さてこの保険、どんな補償があるのでしょうか。費用対効果という意味ではどうなのでしょうか。実際にチェックしてみましょう
まず、気になる保険料ですが、かなり安めに設定されているようです。一番安いプランだと年額1,000円という事ですから、1か月あたりで考えると約83円という事ですね。かなり良心的な保険料といってよさそうです。他に年額2,000円と年額3,000円のプランがあります。
自転車に乗る全員に加入義務があるという事なので、おそらく一種の団体保険のような扱いをしているのでしょう。個別に契約する場合は、こんな保険料では無理なはずですから。
次に補償の中身ですが、記事には次のような記述があります。
保険料の年額はもっとも安いAプランが1000円で、次いでBプランが2000円、Cプランが3000円。自転車事故で、相手に対してケガをはじめとする損害賠償が発生した際には、最大で5000万円(Aプラン)、1億円(B・Cプラン)を補償する。本人に加えて「同居する親族」も対象だ。
またB・Cプランでは、本人や家族の傷害にも保険金が支払われる。Bプランでは本人の死亡・後遺障害に最大1000万円を補償。Cプランはさらに家族の死亡・後遺障害で同750万円まで補償される。入院日額はB・Cプランで2000円となる。
これを読んだ範囲の判断ですが、Aプランは純粋に賠償責任に備える保険という事ですね。自動車の自賠責保険と同じ扱いだと言って良いでしょう。
BプランとCプランはそれに傷害保険の機能が付いているという感じです。また、ちょっとした死亡保障の機能も付いています。
個人的にはちょっと疑問です
この3つのプランですが、個人的にはちょっと疑問を持っています。公的な性格を持っている保険としては、ちょっとおかしい気がするのです。
何が気になっているかというと、BプランとCプランの傷害保険と死亡保障の部分が不要に感じるのです。怪我をしたり事故で亡くなったりするのって、自転車に乗っているときだけとは限りませんよね。なのに、なぜ、自転車事故だけに備えないといけないのでしょうか。変だと思いませんか。
それにそもそも、ケガの補償という意味では、健康保険や国民健康保険といった公的な医療保険があります。これらの保険では、不十分だと考えたのでしょうか。
さらに言うと、自動車の自賠責保険は、賠償責任保険の機能しかありません。しかも、対人賠償責任保険だけです。なぜ自転車保険に自賠責保険に無い機能を付ける必要があったのでしょうか。怪我をするリスクが大きいであろうバイクの自賠責保険だって、傷害保険の機能は付いていないんですよね。このあたりの詰めが、ちょっと甘いように思うのです。
あくまで想像ですが、保険会社からの強いプッシュがあったのでしょうね。もしかしたら、推進派の県議に保険関係者が多かったのかもしれません。保険の関係者としては、賠償責任保険の機能だけだとおいしくないですからね。
もちろん市民の中に、傷害保険や死亡保険の機能を持たせたいという要望を持つ人もいるでしょうけどね。とにかく手厚い保障が好きな人っていますから。
補償は足りるのか
次にちょっと気になるのが、5,000万円や1億円という賠償責任保険の保険金額で足りるのかという問題です。
過去の自転車が加害者になる交通事故の事例を見てみると、9,500万円という賠償額が最高のようです。その例を見ると、1億円あれば足りそうな印象をもつかもしれません。
ただ、将来的にはもっと大きな賠償責任を問われる可能性もあるでしょう。というのも、自動車の事故だと数億円単位の賠償も珍しくないからです。自転車だからといって、自動車よりも賠償額が小さくなるというようなルールはありません。被害者の年齢や性別、所得など次第で賠償額が大きくなることはあるのです。
そう考えると、死亡保障や傷害保険の機能ではなく、賠償責任保険の保険金額を大きくしたほうが良いのでは無いかと思うのです。5,000万円を2億円にしたところで、毎年の保険料負担はそれほど大きくないはずですからね。
結局どれに入るかは難しいところです
自転車が加害者になるリスクに備えるという意味では、1億円のプランに入るべきでしょう。ただ、余分な機能が付いているので、ちょっと迷うところですね。
まあ、必要な補償を手に入れるのが最優先でしょうから、とりあえずBプランを選んでおくという選択をすることになりそうです。余分な機能が付いているとは言え、保険料はそれほど高いものではありませんし。月々167円の負担ですから、それほど重いものではありません。
自転車にあまり乗らない人にも強制するのか?
この仕組みでもう一つ疑問なのが、あまり自転車に乗らない人にも強制するのかという点です。ちなみに記事には、次のような記述があります。
この中で、自転車利用者や事業者に損害賠償保険(自転車保険)の加入を義務付けるほか、自転車の販売店やレンタル業者にも、利用者に保険加入の確認や勧誘を行なうよう定めている。
毎日自転車になる人なら、年に1,000円でも2,000円でも、たいして惜しくは無いでしょう。しかし、年に数日程度しか乗らない人も同じ保険料を払うとなると、ちょっと不公平感がありますよね。この人たちに強制するのはちょっと無理があります。
とくに引用にあるように、レンタルの場合も1,000円とるなんて、ありえない話ですよね。旅行者向けの自転車レンタルのビジネスで、1,000円の保険料なんて考えられません。ビジネスとして成立しなくなってしまうでしょう。
本当に徹底させたければ、50円で1日の補償とか100円で1週間の補償のプランを作るべきでしょうね。
ちょっと雑な気がする
率直に言って、自転車保険の義務化自体は、特に反対ではありません。でも、今回の仕組み自体は、いくつか疑問点があります。記事で読んだ範囲なのですが、公的な保険としては雑すぎるのです。
今後義務化される都道府県が増えたら、兵庫県のシステムが参考にされるのでしょう。そうなると、この問題点が多そうな仕組みが標準になるはずですよね。そう考えると、ちょっと嫌ですね。
- 自転車保険加入を条例で義務化 兵庫県、安い保険料で加入促す
CYCLE SPORTS.jp 2015年3月18日 [↩]
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自動車保険の保険料を下げようと思ったときに、一番手っ取り早い方法は何でしょうか。おそらく、損保各社から見積もりを取り、保険料を比較することでしょう。
ただ、複数者に見積もりを依頼するのは面倒です。そこで、一括で見積もりが取れるサービスを利用しましょう。簡単な一回の入力作業で、10社以上から見積もりが取れます。
保険スクエアbang!のサイトによると、平均で約2万5000円も保険料が安くなっているようです。中には、5万円以上安くなった人もいるのだとか。
ここまでのメリットがあるのなら、チェックしない手は無いでしょう。
もう少し詳しく:自動車保険一括見積もりサービスを使おう

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