国土交通省は、首都圏の高速道路での、ETC非搭載の車両の通行料金を値上げする方向で検討しているようです。平成28年度から上げたいという事なので、1年以内のわりと近い将来の話のようですね。
産経新聞の記事を引用してみましょう。
国土交通省が、首都圏の高速道路で自動料金収受システム(ETC)を搭載せずに通行する自動車について、平成28年度にも通行料金を値上げする方向で検討を進めていることが1日、分かった。1
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受益者負担ってどういう事?
ETC非搭載の車両に限って値上げする理由は何なのでしょうか。
一番大きな理由は、ETC を搭載していない車は、ETC を搭載している車と比べ、料金徴収のコストが5倍かかるというところのようです。「コストがかかる奴等が、余分に金を払え」というのが国交省の理屈みたいですね。
言わんとしていることは、わからなくないのですが、ちょっと違和感も感じます。
まず、記事では「受益者負担の観点から見直す」という表現をしているのですが、この言い方がちょっとピンときません。受益者負担と言うのは、要するに、利益を受ける人がお金を払うという考え方ですよね。
でも、高速道路の場合は、ETC があろうと無かろうと、ドライバーのメリットは同じです。ということは、ETCを搭載していない車のドライバーを受益者というのはちょっと変な感じがします。
というか、ETC をつけることで料金を支払う手間が省けるわけですから、移動時間の短縮につながります。そうであれば、受益者はETC を搭載している車のドライバーであるとすら言えるのです。
つまり、論理の組み立て次第では、ETC を載せている車の料金を上げるべきという議論にすらなりうるわけです。
既存のサービスを使った方だけを値上げ?
もう一つ違和感を感じるのは、既存のサービスを使う方の料金だけを上げるというやり方です。こういうやり方って、民間だとあまりやりませんよね。
おそらく民間が料金に差をつけるのなら、ETC をつけた車の通行料金を安くすると思うのです。そうすることで、ETC の普及を図るとという方向に持っていくはずです。
やっぱりお役所仕事だなあという感じは、どうしても強く感じてしまいます。発想の仕方がね。
ETC を搭載していない車がお荷物になっているんだね
産経新聞の記事を読む限り、今回のような変更を検討している背景には、ETC を搭載していない車がお荷物になりつつあるという現状がありそうです。というのも、高速道路を走る車でETC を搭載していない車は、かなりの少数派のようなのです。
全ての自動車のうちETC を搭載しているのは5割から6割程度という事なのだそうです。しかし高速道路を利用する車に限定すると、9割がETC を搭載していることになるそうです。
1割のETC を搭載していない車のために有人の料金所を残すのは、高速道路にとっては以前以上にコスト要因となっているいうことなのでしょう。「それだったら、高い料金を取ってしまえ」と言うのが発想にあるように思われます。
本当は高速道路を走るにはETC を必須にすると言うような事までやりたいのでしょうね。ただ、一気にそこまでは出来ないので、ETC を搭載しない車の通行料金を値上げするという方向で検討しているものと思われます。
実際記事にも、「混雑状況に応じた料金体系を導入するため、将来的にはETC搭載の義務付けも慎重に検討していく考え」という事が書かれています。
反発も強い
この変更が実現すると、一部のドライバーにとってはコストアップに直結します。ですから、反発も強いようです。まあ、当然でしょう。
また、Yahoo!ニュースのコメント欄では、経営コンサルタントを名乗る人もコメントしています。オーサーコメントとして実名でコメントしている人ですね。ちょっと引用してみましょう。
横山 信弘
高速道路の利用者は「お客様」である、という視点が欠けていると思います。ETCシステムの恩恵を受けているのはETC搭載車です。そのシステムの普及を促すために、非搭載車のドライバーに費用負担させるのはいかがでしょうか。
SUICAなどの乗車カードを利用する人と、非利用者の乗車賃は同じです。鉄道会社も利用者にシステムの費用負担をしてもらいたいでしょうが、そうはしません。利用者が「お客様」だという視点があるからだと思います。
「上から目線」的な通行料値上げには反対です。
率直に言って、この方の意見に完全に同意するわけではありません。ただ、民間だったらもうちょっと違ったやり方をする可能性が大きいだろうとは思います。上にも書きましたが、ETC の利用者の料金を安くするとかね。
行政が強引にやってしまうほうが効率的なケースも
ただ、多分、多少の反発があっても行政が一気にやってしまった方が効率がいいケースもあるんですよね。現状で、高速道路を走る車の9割がETC を載せているのなら、一気に義務化をしてしまった方が効率がいいとも考えられるのです。
具体的には、例えば、ETC の購入と設置の費用のかなりの部分は国が補助をするような仕組みを一定期間入れるのです。その代わり、ETC を搭載しない車は高速道路を走れないようにするというような仕組みにするわけですね。
上で紹介したコメントでは、「『上から目線』的な通行料値上げ」について批判しています。でも、上から目線で一気に変更が出来るのが民間にはできない行政のメリットであるのも事実なんですよね。
ということでETC の問題は、どういうやり方がベストかは一概に言えない、ちょっと厄介な問題のようです。まあ、利害が対立する話なので、皆が納得する答えを出すのは難しいでしょう。
- ETC非搭載なら通行料値上げ 首都圏で来春にも 新システム普及促す
産経新聞 2015年5月2日 [↩]
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