政府と損害保険各社は個人向けの地震保険の値上げを検討しているようです。2割から3割の値上げになるようですね。1
なぜここに来て値上をされるかというと、大きな地震が起こる確率が以前思われていたよりも高かったと判断されたためです。見積もられるリスクが大きくなったのにあわせて、保険料の値上も必要と判断したわけです。まあ、理屈としてはまっとうだと思います。
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地震保険に入るべきなのだろうか?
学術的に考えたリスクの大きさが変更されたわけですから、値上の理屈付けとしてはまっとうなものです。でも、この値上が実現したとすると、地震保険はますます入りづらくなるというのが実感です。
と言っても、保険料が高くなるから入りづらくなるわけではありません。保険料に対してもらえる保険金が少ないから入りづらくなるのです。少なくとも一部の人には、必要性が大きくない可能性が大きいのです。
以下、そう考える理由を説明したいと思います。
地震保険の保険料はあたらない学者の気分次第?
こういった議論をする前に、まず前提知識として知っておいていただきたいことがあります。それは、地震保険のリスクの見積もりは他の保険よりも恣意的な部分があるという点です。
保険料を決めるときに、一般的には、大数の法則と言うのが使われます。過去の膨大なデータを調べると、将来の保険事故の発生確率がだいたい予想できます。すごく雑に言ってしまうと、これが大数の法則です。そして、その発生確率の予想をもとに保険料を決めることになるわけです。
例えば、日本人の年代別男女別の過去の死亡データを統計的に調べると、ある人が1年以内に亡くなる確率がかなり正確にわかるのです。その確率が分かれば、契約する生命保険の保険金の額に対して、保険料をどの程度取れば良いのか決定できるわけです。
自動車保険でも、医療保険でも、火災保険でも、基本的には同じようなことが行われています。過去の発生確率と受取る保険金から保険料が決まるという仕組みです。
大数の法則が使えない地震保険
しかし、地震保険の場合はこの仕組みが使えません。なぜかと言うと、地震保険が適用されるような大きな保険は、そんなに頻繁に起きないからです。つまり、過去の例を使って将来の確率を予想するということが全く出来ないのです。
それではどうやって保険が適用されるような地震のリスクを見積もるかと言うと、学者の研究をもとにリスクの見積もりが行われます。ですから、今回のように研究内容が見直されると、保険料も変動するわけです。
学者の意見を鵜呑みにして決めるのは理不尽な気がする
でも率直に言って、地震予知の分野では、学者の研究はあまり当てにならないという印象しかありません。実際、阪神大震災と東日本大震災は、予測することが出来ませんでした。研究者は東海地方が危ないと言い続けていたんですよね。ちゃんとリスクが見積もれていたのかと、不安になります。
このように予想があたらない理由は、地震予知の分野が、十分に成熟していないからなのだそうです。まだ、予測が出来るほど、研究は進んでいないという事みたいですね。
研究者が当たらない地震予知を自信満々にし続ける理由は何なのでしょうか。よく言われているのが、地震予知は金になるからだと言います。金になると言っても、私腹を肥やせるというわけではありません。国などから多額の研究費が出るので、研究者としてはぜひ続けたいのです。今更あたりませんとは言えなくなっているわけですね。
彼らには彼らの事情があるでしょうから、地震予知があたらないことをことさらに責めるつもりはありません。でも、精度が低い予知によって、保険料が決められるとしたら、私たちにとって不利益になりかねません。
そんなわけで、そもそも地震保険というのは、あまり入りたくないと思う保険なのです。
補償が小さすぎて入る価値は小さいのかも
また地震保険には、補償が小さすぎるという問題があります。地震がおき、仮に全損だと判断されても、理論上は現在の火災保険の保険金額の5割までしか補償されないのです。半損だと、さらにその半分です。
ですから、地震保険に入っていても、地震による損害を保険で完全に回復することはできません。本来の損害保険の趣旨から言うと、あまり意味が無い保険なのです。保険事故が起きた場合に再取得できる仕組みでないと、必要性としては小さくなるんですよね。
しかも、一応民間の保険ですから、保険料には手数料が含まれています。「こんな中途半端なものに手数料を払うの?」という疑問があるわけです。
もちろん、住宅ローンがある場合などは、入っておいた方が良いでしょう。地震で建物が壊れたとしても、ローンがなくなるわけではありません。ローンの契約者が亡くなると、チャラになるケースもあるのですけどね。
ですから、地震保険に入るべきかどうかは、人によってかなり判断が分かれると言うのが実情でしょう。まあ、入った方がいい人が多いとは思いますけどね。必ずしも、そうでない人もいると言う感じでしょうか。
不安だからとりあえず保険に入ると言うのが一番ダメ
「何となく不安だから、とりあえず保険に入る」と言う人が、日本人には特に多いようです。でも、こういうスタンスは一番良くありません。保険の概要だけでも理解して、本当に必要かどうかを判断するのが大事です。
地震保険の場合は、上に書いたように、保険金の額がちょっと中途半端な保険です。その上、保険料の決定プロセスも、かなり恣意的な部分があります。
ですから、契約するかどうかは非常に微妙な保険と言う印象があります。入らない方が良いとも軽々しくは言えませんが、入らないでもいい人がいるという言い方はできるかもしれません。そんな感じの保険です。
まあ何にしても、当たらない予知を元に保険料を決められるのは、かなり釈然としない部分ではあります。
- 個人向け地震保険料2~3割上げ検討…加入減も
読売新聞 2015年5月27日 [↩]
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